今日から行政刷新会議の事業仕分けが始まりましたが、インターネットでライブ放送をやっているので聞いてみました。サイトは行政刷新会議のHP にあり、表紙の右側の一番上がライブのページです。

見る人が多いらしく、中央官庁や地方の自治体あたりが心配でどんなものか見てるんでしょう、午前中はなかなかつながりませんでしたが午後つながり、第三WGの文科省のところを見ました。見るといっても委員会を俯瞰した画面だけあり、この画面は動画ですがほとんど動きません、声だけを聞く状態で、ラジオ放送でした。


もっとつながりやすくしたり、画面も発言者を大写して臨場感を出し、もっと見やすくしないといけません。このくらいはわけないことですが、大分おくれておりいけません。こういう所にもっとカネをかけることが必要です。


見たのは「放課後子ども教室」事業です。


文科省と厚労省から事業の説明があり、両省が同じような事業をやっている、その後財務省の主計から論点整理、いらいな事業だ、古くなってしまってる、両省一緒にできないか、のように主計の評価があり、その後仕分け人十数人で議論します。


2:00から2:30ごろ学校が終わりますが、お母さんが働いてるので三分の二の子どもは帰れない、そこで空き教室を開放して学校が預かる事業で、その予算です。


そうなってるのは知らなかった、聞けばそのとおりです。


和田中学の校長をやっていた藤原さんは仕分け人でしたが、藤原さんによると、皆さんは知らないだろうが、もはや新しい公共投資に近い事業で、必要な事業だと力説してました。


仕分け人は、大方事業の必要性は認定しましたが、両省でやることでない、内閣府のようなところにまとめてはどうか、あるいは文科省に一元化、事業を外部、例えばNPOへまる投げするのでなく、役人が直接やらなくては現場がわからず、関連分野でいい政策をつくれないのでは、という調子でした。


一言でいえば、大変面白いライブでした。こんな面白い番組はめったにない。


政治家と仕分け人の質問にたいし、官僚はピントぼけの返答をしており、官僚が時代遅れになってしまってる様子がよくわかりました。インターネット上で恥をさらしてました。


政治家と仕分け人の勝ち、官僚の負けです。民主党の事業仕分けは進んで行くでしょう。こんな調子なら官僚政治を崩すのは簡単だというのが感想です。

このブログで鳩山政権をときどき取り上げてるが、打ち出す政策の社会起業度を知りたいと思ってるからである。


そこで国会の議論を聞いてるが、今日の参議院予算委員会では鳩山政権の成長産業政策が議題になり、こんなことが議論されていた。


・長妻厚生労働大臣 - 医療経済
医療産業政策を展開する。GDPを増やす効果が高く雇用創造力もある。医療クラーク、こんな仕事はまだないが、こういうのがあると医者の仕事も軽減されて助かり雇用が増える。


医療はただコストがかかるだけなら小泉さんや竹中さんのように削るだけで、医療サービスの供給が減り、病気になっても医者にかかれなくなる。今の日本がそれである。80年代から90年代初めのイギリスが同じで、入院できるまで半年かかった。そうでなく産業としてとらへ、特に雇用吸収力があるので育成するつもりなのである。


・藤井財務大臣 - 福祉経済・地域経済
具体的に説明しなかったが、福祉需要が牽引する経済。これは大都市に集中してるのでなく全国どこにでもあるので福祉経済が成長するとパラレルに地域経済も成長するといいたかったのだろう。


・菅戦略大臣 - 雇用、環境、子ども、経済の4K
これが菅大臣がいった言葉だが、「環境と子どもにカネを使って雇用を生み、経済成長する」意味。環境はグリーン産業のこと、子どもは保育や子ども手当てで新しい需要が生まれ関連産業が起こる。


自民党の20年間は投資効果が低いところへ投資したので成長しなかったが、今度はだいじょうぶと自信がありそうである。


・赤松農林大臣 - 水田の4割は減反政策で空いているので、ここで麦、大豆などをつくり自給率を上げる。内外価格差を埋めるために農家へ直接所得補償する政策をやる。


医療、福祉、介護、子ども、農林業。。。こんな感じのものに税金が投入されて、雇用が増え総生産額が増えるのが民主党の成長産業政策である。


これまでの成長産業政策は、公共投資で建設業をのばし、自動車やエレクトロニクスの製造業で輸出産業を育成し、都市開発で不動産業、情報産業では規制の緩和で携帯電話を成長させたことに比べると様変わり、来年から成長産業がまったく変る気配である。


これから展開される民主党の産業政策には社会起業の色彩が濃厚である。

昨日の毎日新聞に鳩山首相の所信演説の内幕が出てました。これによるとこの演説を劇作家で演出家の平田オリザさんが指導したそうです。


平田さんがまず狙ったのはオバマの真似をしない、鳩山さんらしさを出すことです。


まずで政策をつらねるだけでなく自身の経験を出す、息子が職につけずに自殺した青森のおばあさんの話が出たり、鳩山さんの知的で実直らしさを尊重し、アインシュタインのくだり出しましたが、これは鳩山さんのイメージに合うようにしたためです。


また、政治改革をするのだから新しいボキャブラリーが必要だと考え、「市民」と「NPO」を多用しました。演説には「新しい公」もありましたが、これも新しいボキャブラリーです。


演説は数人でつくったのでしょうが、その人たちが考えたボキャブラリーはこんなものだったのです。


首相の所信演説にこういう言葉がでてきたのはすばらしいことだと思いますが、世の中の流れからみると遅いな、なにをいまさらという感じもします。


時代外れの利権政治、官僚政治を長く続けてきたので遅れたのは仕方ないことですが、でも、やっと追いついてきたのは評価できます。政権交代の効果です。


言葉の先にどんな具体的な政策が出てくるかわかりませんが、期待しましょう。

前回、鳩山首相が施政方針演説で「新しい公」を打ち出したことを話題にしましたが、今日の衆議院予算委員会で自民党の加藤紘一さんが質問に立ちこういいました。


「鳩山首相が演説で提案した新しい公はいい考え方で、私も賛成です。一緒に広げましょう」


加藤さんは江戸の橋は幕府がつくった公共投資だったが、大阪の橋は金持ちの商人がつくった民間の橋で、昔から民間が公をやっていた。新しい公の概念は昔からあったものだ。


これを受け鳩山首相はこんな話をしてました。京都に行ったとき、街のそうじを小学校登校時に合わせて皆でやって防犯をやっている話を聞いた。警察官増員で防犯をやるのでなく民間がやるのがすばらしいと思い、こういうやり方を増やしたい。


加藤さんは、会社勤めの人は地域の祭りに参加できない、郊外にスーパーができて街の商店街が衰退した、どれも地域のコミュニティが破壊され社会問題を解決する力が衰えている、これを復活しなくてはいけないと論じてました。


また加藤さんは、ハンガリー条項、市民税の1%をNPOへ寄付するやり方、を市民税に取り入れたらどうかと原口総務大臣に質問し、大臣は公共サービス基本法の原案には入っていたが途中でなくなった、そこでハンガリー条項を取り入れる法案を通常国会に出すといい、来年度から実現するような感じであった。


新しい公は民主党と自民党の重鎮が賛成しているなんて、時代の流れなんだろう。両党とも市民社会をつくるという気持ちが急にもりあがってきた。変化は急流のごときである

「新しい公」はイギリスでつくられたコンセプトで、官の専管領域へ民、社会起業などの非営利活動、を導入し、社会問題を解決するやり方です。


民を導入するのは、官にはもうカネがない民間の資金を使おう、官はアイディア不足、スピード不足。。。官が劣っているからです。このブログでも何回か話題にしました。


この「新しい公」を鳩山首相はくちぐせのように使ってます。


昨日の参議院の国会答弁を聞いたましたら、自民党議員の民主党はバラ撒きをやっていると非難されたのに対し、鳩山首相は新しい公のコンセプトで切り替えしてました。マスコミのインタビューでも使ってました。よほどそおう思っているのです。


鳩山さんの説明は、公の領域に民、例えばNPOを呼び込み、両者共助の関係をつくり問題を解決する、税金をただばらまく昔の社会民主主義とは一線を画している、だから非難されるようなバラ撒きでないというものでした。


まだ理念を述べている段階で、民の導入を具体的にすすめてるわけではありません。例えば、中学生以下には児童手当を支給しますが、世田谷和田中学校のように、中学校に地域の市民が入り、先生とともに教育をやるとはなっていません。


鳩山首相はまだ理念を言っているだけで、具体的な政策はこれからですが、「いい発想」で、このコンセプトでずっと先に行けばいいのにと思います。

23日に決まった鳩山政権の雇用対策は


・「介護」「グリーン」「地域社会」の3分野での雇用創出
・2010年3月末までに10万人創出
・介護は、施設で研修勤務しながら介護士の資格を取るとき実習を免除
・農林、環境、観光の「グリーン」分野で、建設業などからの転職支援や人材育成
・地域社会分野で、若者やフリーターの雇用支援を行うNPOなどを活用
となっている。


失業率は5.5%、2ケタ近い他の先進国に比べると深刻なほどの失業率ではないが、昨年末、生活困窮者のテント村ができ、社会問題だと大騒ぎになったが、今年はそうさせないぞと今から準備しておく、そのためハローワークで職業あっせんのほか、生活保護手続き(社会福祉法人がやっている)ができ、住宅も斡旋する(自治体がやっている)「ワンストップサービス」を打ち出し、こういうのがセットになった雇用対策になっている。


新年への年越しのためのとりあえずの雇用対策で、感心するほどのものでない。


それより長妻厚労相が提唱している年金照合のための雇用の方がずっと面白い。これは11年度までの2年間に記録照合のために1万数千人を投入するアイディアである。


記録訂正、原簿(8億5000万件、紙台帳、マイクロフィルム)とオンライン記録の照合、原簿を画像システム化し全国から照合できるようにするなどが仕事で、どうせやらなくてはいけないので、今一気にやってしまおうと10年度の概算要求に2000億円計上した。


これに必要な人材はホワイトカラーの事務職で、派遣切りにあった事務職の仕事も足りないので、社会保険庁が雇用対策もかねて年金照合をやってしまうのは、こちらの方かいいアイディアである。


私がおやっ、と思ったのは、若者やフリーターの雇用支援をNPOにやらせることである。このやり方は90年代にイギリスでやりうまくいったので、日本だって本格的にNPOを使えばいい成果を上げると思う。


また、今日の国会の質疑で、自民党の西村さん(この間総裁選挙に立候補した人)が、民主党が子育ての政策をつくるなら、地域で活動しているNPOを活用したらどうかと提案していた。質問された福島大臣は沖縄の普天間基地の県外移転の論旨を述べるので熱心でNPOまで返答がいかなかったが、NPOへ期待し、政治の場でNPOが急に表に出てきた。


社会起業が政治の場の表へ顔を出してきたのはいい兆候である。

近ごろ、社会の思潮が市場から非市場的なものへ変ってきたように感じるが、その例です。


今年のノーベル経済学賞はインディアナ大学のエリノー・オストロム教授とカリフォルニア大学バークレイ校のオリバー・ウィリアムソン教授でした。オストロム教授に対しては "for her analysis of economic governance, especially the commons"(経済的な統治、特に共同体、の彼女の分析) の貢献です。


オストロム教授はアメリカの共有地をたくさん調べ、共有地から利益を受けている利用者は、受益が長く続くような自主ルールをつくっており、共有地が存続し続けてることを発見しました。


これまでの経済学の考え方は「共有地の悲劇、コモンズの悲劇」で、共有地は生き残れないというものでした。


例えば、放牧の場合、1頭でも多く放牧すると儲かるのでそうします。そうなると共有地を利用してる人が皆同じことをするので草がなくなり放牧地に適さなくなります。そんなわけで共有地でなくなり、結局共有地を個人へ分けて個人所有にしますが、こうなると無理な頭数を増やすことをしなくなり、そうすると自滅するので、放牧地として成り立ちます。この個人へ分けることを近代化といっていたのです。


これが市場経済の考え方です。ところが実際は共有地解体の原因が資源の過剰利用によって自壊したのでなく、人々が共有地を離れたのであって、農村から都市に人口が移った、都市で工場労働者になった、それで共有地の利用者が少なくなり個人の所有になったのです。


しかし存在を続けたところもありました。そこは資源の利用に厳しいルールを設けることで、共有地は維持され「共有地の悲劇」は予想されほど起こらなかったのです。


数年前までの市場経済万能の時代には、非市場的なものを排除し市場的なものに授与してきましたが、それが様変わりになり、オストロム教授のような研究が授賞したのは時代が180度変ったからです。


自民党から民主党に変ったのも同じ思潮に乗った話です。したがって、ノーベル経済学賞についてジャーナリストや経済学者の論評がもっとあってもいいと思ってましたが、ほとんど見かけないのは変なことだと思っていたところ、浜矩子同志社大教授が、毎日新聞(10月25日)のコラム「時代の風」で珍しいことに取り上げてました。こんな論旨です。


「両氏のテーマは極めて今日的、いずれも非市場的なるものの効用を説いている」
「近江商人の三方良し(売り手良し、買い手良し、世間良し)のイメージが頭に浮かんだ」
「利用者による共有地の共同管理の論理は、まさに三方良しの論理だと思う」
「ウィリアムソン氏が唱える組織の効用も、三方良しに通じる。市場の中で解決しようとすると、自分さえ良ければの方向へ走る、その結果誰にとっても最適でない解答に達してしまう、そこで売り手も買い手も同じ組織に取り込んでしまった方が正解、全体感共有しながら、三方丸く収まる解答を探り当てる」
「談合の薦めのように聞こえるが、市場的なるものへのアレルギーが、非市場的なるものへの全肯定につながってはまずい」
「何事にもバランスが必要だ。市場と非市場との間の微妙なバランスをどう見出すか」


これがノーベル経済学賞の今日的評価です。市場経済へ偏りするたことに対する贖罪意識から行われたことでしょう。


地球環境問題解決も非市場的なアプローチに価値を認めたから議論が進んでるんだと思います。


「市場でもない、政府でもない、その間に解答を探ろう」です。社会起業もこれです。そういう点で社会起業は今日的なものです

このブログの読者であるiLEAPの岩澤さんからメールでイベント紹介の話があった。


イベントは「自分が変われば、世界も変わる/ソーシャル・イノベーション in シアトル」のプログラム説明会である。
・11月7日(土)10:15~
・地球環境パートナーシップオフィス会議室、渋谷区神宮前5-53-67コスモス青山B2F


iLEAPはシアトルにある人材育成NPOで、日本語サイトはここ

iLEAP代表は山本ブリットさん、社会変革理論の研究者で実践家、アンティオック大学教授(シアトルにある学生1000人ぐらいの大学らしい)、日系4世アメリカ人(立川に米軍がいたときそこで生まれた、父は軍の歯科医)。


ここが来春に社会起業家養成プログラムをやる。
・2010年2月22日(月)~3月19日(金)(26日間)
・於:ワシントン州シアトル市
・定員: 18名
・対象者:社会起業家に興味のある大学生・大学院生・社会人
・申込金:$300、参加費:$2,850(費用に含まれないもの 往復航空券、滞在費)
11月7日の会はこのプログラムの事前説明会。


へぇ、アメリカでは3000ドル、30万円近くとって、NPOがこんな教育をやってるんだと改めて思ったが、日本でこれだけ出す大学生がいるかどうか、春休み短期留学するつもりなら、こういうプログラムは昔からたくさんあります、出すのか。


教育関連の事業は日本でも社会起業家の仕事であると思う。民主党政権がフリーターの再教育をNPOがやるプログラムを政策にしようとしている(自民党もやっていたがもっと大規模にやるのだと思う)ので、そう思うが、これはいい方向だ。


日本でもこんな高い費用のプログラムがNPOでも行われるようになるんでしょうか。そうかも知れませんね。

来年、社会貢献ブームになるという説がある。マーケティングの専門家竹井善昭さん(株式会社ソーシャルプランニング代表)がダイヤモンド誌のデジタル版に『来年、大ブレイクの予感も!? 「社会貢献ブーム」を裏付けるこれだけの理由』を書いている。そのサイトはここ

根拠はこうである。ボストン・コンサルティング・グループは、今年、寄付に関する調査をやり、結果はこうなった。

・特定の団体やプログラムに寄付している: 約4%
・近いうちに寄付しようと思っている: 約6%
・良いところがあれば寄付したい: 約40%
・まったく興味がない: 約50%


竹井さんはこれをマーケティング理論の古典「イノベーター理論」にあてはめる。この理論はアメリカのロジャーズ博士がつくったロジャーズの理論として有名である。


モノゴトの流行は、イノベーター>アーリー・アダプター>フォロアー>レイト・フォロアーの順番で伝播していく。新しいモノゴトに真っ先に飛びつくのがイノベーター層、その後、アーリー・アダプター層が受け入れ、フォロアー、レイト・フォロアーと続く。それぞれの層の割合は、
・イノベーター:5%
・アーリー・アダプター:15%
・フォロアー:40%
・レイト・フォロアー:40%
となっている。


「寄付してる」「近いうち寄付する」「良いところがあると寄付したい」の順が、「イノベーター」「アーリー・アダプター」「フォロアー」の順に対応してるというアイディアにより、来年あたり寄付する人の割合が爆発的に増える(寄付フォロアー全盛時代になる)と予想している。


ロジャーズの理論の原典は
・イノベーター(革新者):2.5%
・アーリー・アダプター(オピニオン・リーダー、初期少数採用者):13.5%
・フォロアー(アーリー・マジョリティ、初期多数採用者):34%
・レイト・フォロアー(後期多数採用者):34%
・ラガード(採用遅滞者):16%
の5つに分かれてるが、竹井さんが日本の実情に合わせた数字にしてあり、日本のほうが流行の進みぐあいがはやい。


なるほど、ロジャーズの理論に当てはめるやり方もあるのかと、この着眼点には感心した。


しかしアーリー・アダプターからフォロアーまで行かないで途中で消えてしまった現象もたくさんある。最後まで流行の法則に乗っていた勝者が振り返るとこうなるというのがロジャーズの理論である。


しかし、私も竹井さんがいうように社会貢献活動が大ブレイクするのではないかと思っている。なお、竹井さんは大ブレイクの論拠をロジャーズの理論からだけでなく別の角度からも説いているので上記のサイトで確かめられたし。


そう思うのは、社会起業コンセプトを2000年ごろ発し、以後、日本社会でどう受け入れらるかをみて来たが、予想外に早く社会に浸透してきたことを実感してる。さらに、小泉・竹中流の市場至上主義の思潮から、市場と社会の両方を大事にする社会の思潮に世の流れが変ってきているからである。市場と社会の両立の方がはるかに難しく、挑戦のしがいがあるのだが。


政治的には中道右派から中道左派への転換であるが、昔の左派のように単純に税金をばら蒔くのでなく、創造的なやり方で社会化を進めるので(ゲイツ財団のビルゲイツのように)、政府の役割が小さくなったまま、企業や個人の社会貢献活動が進化し、社会のいろんな問題を解く時代になると思っているからである。


「社会貢献が大ブレイク」という発想には賛成である。

前回、農業で社会起業らしい企業の話しをしたが、今回もそれである。


みずほの村市場は、㈱農業法人みずほがつくば市で経営している農産物直売所で、会社のサイトはここ (素人がつくった素人ぽいサイト、要改善)。

産直の野菜市場は各地にあり、不況にもかかわらず売り上げが伸びてるので、マスコミにはしばしば登場する売れっ子である。産直市場の優等生といったところである。


農家は自分がつくった野菜を市場に持ち込み、自分で値段をつけて並べる。売上げの15%が市場の会社に行き、85%が農家の取り分になるが、市場の年間売上は5億円にもなる。(市場会社が15%も取るとはずいぶん取るもんだと思う。直売所経営はいい商売である)


私が感心したのは、こうした市場は産地直売なので安さを売りにしやすいが、高品質と安全(出店する農家の顔が見える)、新鮮(早朝取ったのを今日売る)を売りにして農協へ売るよりも高く売っている。


高く売るのは農家が再生産できる価格が必要で、その理念を実現している。


農家が売り場に並べた野菜は、長谷川久夫社長みずからチェックし、問題のあるものは撤去し、農家を指導する。こうすることで高品質を維持する。長谷川社長によると、直売所に参加することで「農業生産者から農業経営者へ」変われるという。


農家がじかに消費者の趣向を知り、生産をそれに適応するのも経営者の行動である。


農協に出してると450万円の農家の年収が、この市場を通すと+200万円、650万円になるそうだ。値段が高いことと、中間排除、農協、都市の青果市場、卸、スーパーへ行っていた利益を農家と村市場が取るからである。


この直売所は10年以上もやっており、事業として成り立つ市場はどんなものか考えてきた。最近好調なのは時代の精神がこうしたところを求めてるからで、農業で伸びてるのは社会起業のにおいがする事業である。