前回、アメリカでは大学が新聞社に代わり調査報道の事業を始めた話を取り上げたが、マスコミが事業縮小するのは日本でも起こることで、代わって誰がそれを引き継ぐのかが、まだはっきりしない。


日本の大学には、カネがない、社会の先端を切り開く文化がないので、アメリカのようにはいかない、アメリカで始まったモデルが使えない、そうなると誰がやるのかが問題である。


とはいえ、大学でもオフィススペース、机、PCなどの機材は提供できるのだから、挑戦してみるテーマではある。


新聞社やテレビ局がネット報道へ転換するのが想定されるが、事業モデルが既存の新聞社やテレビ局とは違う、古い部門を持ってるところがそうなるのは容易でない。アメリカのネット新聞では一記事1600字というような原則(短い記事にする)ができつつあるようだが、こんな新しいやり方にもなれなくてはいけない。


そうなると、予想されるのがネット企業がネット事業や技術のノウハウを生かし、報道の事業に新たに進出することである。


ソフトバンク、楽天など、この間フォーブス誌の10億ドル以上の金持ちランクにのったグリーの創業者田中良和、まだ30才代の前半と若いので、ネットの調査報道へ乗り出す条件があると思う。


まず、一流のベテラン記者や編集者がマスコミの縮小にともないフリーランスになり、こうした人と契約するのが容易になる、こうした人は新しいジャーナリズムを創る気概があるので同志になれる。


また、ネット新聞はコストが安い、それはたくさんの人を雇う必要がない、配達がなくワンクリックで配信できるためだが、さらにグーグルがネット広告事業のビジネスモデルをつくったので、ネット新聞もネット広告を安定収入にできるなど、事業化には好条件が出てきた。


そんなわけでネット企業がマスコミの代わりになる、これはネット企業が社会起業に乗り出す話であるが、こんなことが起こりそうな感じがする。そうなると、福祉系統や教育に偏っていた社会起業の分野が広がって面白いことになりそうだ