昨日、東京12チャネルの「ガイヤの夜明けは」で、前回放送したぶんのその後どうなったかの追跡企画でした。日本ポリグルのバンクラディッシュの汚水浄化事業、スワンの経営再建が取り上げられてました。


日本ポリグル(株)は大阪にある資本金1億円の中小企業で、よごれた水の浄化剤を開発しそれを売ってますが、会社のホームページはここ


前回は社会貢献活動としてバングラディシュでよごれた水の浄化事業をやっていることをテーマにしてましたが、その後どうなったのかが今回です。


池の汚れた水を生活水につかっているので下痢になったり、皮膚病になったりします。そこで小田会長(創業者らしい)の決心で、一日1ドル以下で生活している貧困層の生活を水の浄化によって改善することをボランディア活動でやってます。


会長の悩みは、ボランティア活動では広がりには限りがあり、事業拡大のスピードも遅い、今回はその問題を解決するために、BOPビジネスに挑戦したことを取り上げてました。


BOP(ボトム・オブ・ピラミッド)ビジネスはアメリカのビジネススクールで開発されたコンセプトで、一日2ドルで生活している貧困層にたいし、P&Gやユニリーバーがインドでシャンプーを小分けにして販売したり、フランスのダノンがバングラディシュでヨーグルトを販売してるようなビジネスのことです。


貧困層に援助するのでなく事業を起こして自立する試みです。グラミン銀行のマイクロクレジットと同じ考えですが、企業がやるのが特色です。途上国で携帯電話が普及したのは欧州の電話会社がこのビジネスモデルでやったからです。


販売するのが現地人で雇用を創出し、小分けにしてるので価格が安く買いやすく、生活を改善する効果があります。消費者の一人当りの消費額は小さくとも数が多いので、多国籍企業にとっては商売になります。


貧困層の消費マーケットを創造することに挑戦しているビジネスですが、日本の企業は出遅れてます。昨日、経済産業省でこのビジネスを日本の企業にも広げるために何をやったらいいのかを考える委員会があったようですが、役所ができることはジェトロの現地情報提供、貿易保険ぐらいのことしかないようで、遅れを取り戻すには在来の政策だけではだめで、知恵がいります。


日本ポリグルの場合、浄化剤を小分けし、現地の販売員、これをポリグルレディと称してますが、一瓶20円で売るビジネスを始めました。


画面には最初のポリグルレディ8人が販売してる様子が映ってましたが、価格が高いにもかかわらず健康な生活を取り戻すために現地の人が購入する画面がありました。


中小企業がBOPビジネスを始めたのが面白い点です。経済産業省は大企業だけでなく中小企業も考えたらいいのです。大企業よりもこちらの方が有望な感じもします。


次はスワン、知的障害者を雇用しているベーカリーショップですが、ヤマト運輸の小倉会長が始めた事業で、死んだ後はスワンの経営がさえないという話を聞いてましたが、やはりそうでした。


神戸店はスワンをやめてカフェへ転換、福祉と経営は両立せず難しいとオーナーは感想を言ってましたが、まともな感想です。フランチャイズのスワン離れがあったのです。


社会起業は福祉と経営が両立しないという古い常識に挑戦するのが人をひきつけます。このフィーリングがないのに社会起業をやろうと思う人に何人も会いましたが、そういう人はやらないほうがよい。


そこで経営がおかしくなっていたのを新社長が立て直す話で、本店(銀座)ではパンの種類を増やして売上げを伸ばしたり、北浦和店はずっと赤字だったが、入り口でパンを焼き、臭いにさそわれて顧客が入ってきてパンを購入、売上げが増えてきたことを伝えてました。


不況でビジネスは大変ですが、同じことが今社会起業に起こってます。この番組はそれを伝えてました。社会に役立つだけでは事業として継続するのが難しいことを教えてくれます。


テレビ番組はそれでも事業に未来があるというトーンで明るくまとめてました。