広島県福山市の鞆の浦の海岸沿いを埋め立て交通混雑を緩和しようとした広島県の公共投資は景観を害すると住民が訴訟した工事差し止め訴訟で、広島地裁は景観利益を認め、埋め立て差し止めの判決を10月1日に出しました。


万葉時代からの良港で、歴史的な文化遺産があるところです。おかげで観光客が多く、通過交通量も多いので生活道路が混雑し、そこで地元自治体は埋め立てや橋の建設による道路建設を考えたのですが、混雑緩和よりも景観利益を優先した判決になりました。


知り合いは地元出身者で東京で働いていましたが、ときどき帰郷し建設反対運動をやってました。会うとこのときの様子を熱っぽく語ってましたが、腰の据わった反対運動だという印象がありました。


今度の判決を聞き、二つのことを考えました。


一つ目は景観権が司法で認められるのが当たり前の時代になったことです。私は国立に住んでますが、駅前の有名な桜並木沿いに高層マンションが建ち、住民が景観が悪くなると建設差し止めの訴訟を起こしました。東京地裁の一審判決は建ってしまっている13階建てマンションの8階以上を切って壊すことと、むちゃなびっくりする判決を出して話題になりました。


この訴訟は最高裁まで行き、住民には景観権はあると司法で初めて景観権を認めた判決として再び話題になりました。しかしマンションは壊すことはせず、建設した不動産会社がマンション周辺の環境を整えることで住民側が納得して落着しました。


景観権を司法が認める、民主党政権もそうでしょうから立法も景観権を認める時代です。あとは行政がどうかですが、広島県、福山市は認めないので訴訟になりましたが、ここも変るんしょう。


環境権、景観権のような権利が司法、立法、行政で認められるように変ったのが重要な点です。


もう一つが景観利益を認めても、生活道路の混雑はなくなりません。これをどうするか、これから考えるべき所です。行政には知恵がないので、住民が代替案を出さなくてはいけません。


山側にトンネルを掘りバイパスをつくるアイディアがあるようですが、これはアイディアの一つです。こんな問題の解決策はヨーロッパにいくらでもあります。こういうのを参考にして社会起業家的なアプローチで混雑緩和事業をデザインしてみるといいのにと思います。


訴訟に勝った住民側が問われてることです