前々回、グラミン銀行で行われた今夏のインターンシップの4割はフランス人で、フランスでは社会起業家がもりあがってる話をしたが、今回もフランスである。


先週土曜日の午後、NHK・BS2で「チェンジメーカー」を再放映していた。一人30分、7回分の番組をまとめて3時間半放映だった。NHKは社会起業家に熱が入っている。


7人のなかで、フランスの「パラン・パルミ」が圧倒的な内容だった。


半里親になる事業で、番組では20代後半の独身の女性が、アフリカ系の男の子を土日預かり(母親が働きに行ってるため)、科学博物館へつれてゆく話があった。里親と一緒にすごし人間関係のつくリ方を学習する。この子も家に引きこもっていた。


90年にカトリーヌ・パルミ(現在中年の女性)がはじめた事業である。20年近くたち、4000人もの支援者、里親と寄付者、がいる。


事業の財源は里親希望者から年5000円徴収し、あとは国の補助金と寄付金で事業を継続している。


カトリーヌ自身、子供のとき母方の親戚に預けられ、叔父さんから父親代わりをやってもらってすごした。この経験から親のいない子供に親代わりになってくれる人がいると、新しい人間関係を築くことができる、豊かな心が育つことを発見しこの事業を始めた。


彼女が見たものは、NGOが途上国で子供を支援しているが、フランス国内にも同じ問題がある、どうして支援しないのか、私がやってあげようだった。


普通の家庭のない子供を、社会中でめんどうをみて、非行に走ったり、引きこもったりするのを防ぐ。


事業の当初は世間はこの事業に無関心だったが、彼女自身が広告塔になる決心をし、数冊の本を書き、いろんな集会で話すようにした。彼女は本来引っ込みじあんで地味な性格、人前で話すのが苦手だったが、まわりから社会へ出て自分の事業を訴えることをさかんに奨められた。


意を決しやってみたら、現場の体験から発想した事業には生命力があり人をひきつけた。自ら広告塔になる決意はイギリスでもすすめられている。ビジネスプランを社会に訴えることが必要である。


09年、レジオン・ド・ヌール勲章を授賞したが、授賞式の様子が映っており、彼女の晴がましい顔があった。イギリスでも社会起業家がナイトを授賞することがあるが、こうしたことは日本にはない。


ソーシャル・イノベーションを起こした人を国家が表彰するという発想がないのだ。これではいけません。