MIT経済学部のアジビット・バネルジー教授はアメリカの社会セクターの人材についてこういっている。


「社会セクターは、常に才能不足に悩まされ、民間に加わることができなかったために社会セクターにやってきた人びとの手にまかされてることが多い」


「そこへビルゲイツが現れた。彼は十分な資金とアイディアをもち、政府がアイディアを真剣に考えるようしむけた。大規模な組織を運営し、社員に仕事を楽しいと思わせる方法を知っている。ビルゲイツのような人びとが大勢出てくることを望んでいる」


「結核の治療は薬を飲めば治るが飲み続けない、そこで監視する人物をつけるDOTSという方法をWHOが開発したが、監視するはずの看護師の三分の一は欠勤している。そこでMITの学生グループにこの解決案を提示させたところ、新DOTSと呼ばれる案を持ってきた。結核薬に無害の試薬を入れ尿中の試薬を検査し、試薬があるとポイントを与える案だった。政府はこんな考えができない、だから外部から才能を投入する必要があると確信している」


ビルゲイツの創造的資本主義の擁護論である。


アメリカでも政府部門の人材の品質が悪いようだが、事情は日本でも同じである。


一流大学出身者が社会セクターへ行くのは日本の方が多いが、斬新なアイディアを嫌い、起業家精神が欠けており、革新的でなく、社会問題を解く気概がない点では日本でも同様である。


そこで民間の知恵でソーシャル・イノベーションを起こそうとする。社会の思潮がこうなので社会起業家が活躍する。これが今のアメリカである。