企業が規模拡大するとき、レギュラーチェーン、ボランタリーチェーン、買収、持ち株会社など、さまざまなやり方があります。


非営利法人も同じです。社会問題の解決を待ち望んでいる人がいるのですから、NPOのほうが収益事業よりも一刻も早く広がって欲しいとも言えます。


NPOの人はマイペース、わが道を行くとスローペースの気風があるように思いますが、この悪しき文化は変えなくてはいけません。


ティーチ・フォー・アメリカ(低所得者が住んでいる公立小学校へ一流大学の卒業生を2年間送る事業、教員の質が向上し著しい教育効果を上げている)をつくったウェンディ・コップの自伝に、初期の段階にニューヨークの投資銀行が余っているオフィススペースを提供し、ここに大きな本部をつくり、ここから指令して全米展開する話が出てきます。


目から鱗の優れたビジネスモデルなら大企業からの支援は得やすく、事業の初期の段階で有力企業の支援があると事業の拡大は加速します。


ルーム・トゥ・リード(アジアで小学校の図書館をつくる事業)をつくったジョン・ウッドは、前身がマイクロソフトの幹部だったのでインターネットの使い方に長けており、ウッドが友人にメールを書いて余っている本を送ってくれないかと頼むと、友人から数十人の友人の友人に転送されて、あっというまに依頼事項が広がっていった話をかいてます。


今やインターネットを上手に使うと事業の拡大は加速します。


このようにNPOでもスケールアウト(違うNPOが違う地域で事業を立ち上げるので、アップでなくアウトという)策はさまざまで、特効薬はないが策はいろいろあります。

この中で日本に欠けてるのが左の社会起業家と右の寄付者や投資家の間をつなく中間組織の存在です。


前回、日曜日に慶応大学であった「スケールを求める社会起業家たち」のフォーラムの話をしましたが、そこでボストンにあるコンサルファーム rootcause.org のシニアコンサルタントがスケールアウト策について話しました。これが中間組織の重要性についてで、非営利法人世界特有の話しでした。


社会問題を解決するアイディアがあり、それを事業化するビジネスモデルを開発した社会起業家がおり、一方、ソーシャルイノベーションに投資して社会を変えたいと望んでいる人たちがいます。


ルートコーズはこの双方を結びつけ、社会起業モデルのスケールアウトをやる、04年に Andrew Wolk がボストンではじめた、彼は2000年ころからボストンの大学でソーシャル・アントレプレナーシップを教えていたが、社会へのインパクトを増すためにコンサル会社をつくったのです。


ルートコーズのホームページはここ

それから5年、4500のNPO、企業、財団、大学と政府のリーダーををネットワークして、2200万ドルを投資し、250人のプロフェッショナルのスキルド・ボランティアと契約しており、NPOのスケールアウトの先端にいます。


社会起業家とそこへ投資したい投資家がたくさんいないと成り立たないNPOですが、こういう中間組織があると、潜在していた社会起業家や投資家が社会の表に浮き上がってくることだってあります。


日本だってもう成り立つのではないか、まだない職業を作る挑戦、おすすめです。