ビルゲイツが昨年初めに提唱した創造的資本主義論(公共性の高いサービスをゲイツ財団のような非営利組織が供給する資本主義のこと)にたいし、ハーバード大学経済学部エド・グレーザー教授は、こんな理由から創造的資本主義を是認している。


「創造的資本主義が必要な二つの理由があり、第一は、自由放任の資本主義は社会的な不平等を目標にしてこなかったこと、第二は、政府の失敗で権力者が資源を私物化し、国家主導で不正を行ってること」


「政府は税金の無駄遣いを抑制する法律によって活動を制限されてしまっている」
「世界には利潤極大化だけでは解決できない問題があり、途上国では公共セクターが深刻な機能不全におちいっているという事実がある」


「お役所仕事では手の出ないリスクの高いプロジェクトであっても、創造的資本家はリスクを冒すことができる」


「20世紀はじめに、ジョン・D・ロックフェラーは私財を投じ、南部の十二指腸虫を一掃した」
「社会起業家がある程度、公共セクターで埋められない穴を埋めてくれるかもしれない」


政府が機能不全だという認識は日本でも同じで、だから一度政権交代しようというのだが、政権交代だけでは機能不全の代替案にはならないと思う。


政府部門に規制が多く、イノベーションが起こるような行動を取れないという認識は面白い。民間の規制を緩和でなく、政府部門でイノベーションが起こるような仕掛けはどうすればいいのか、こういうことが問題なのである。


公共性の強いサービスでも民間がやればイノベーションが起こる。その際格差が拡大したり、不平等が進んだりするといけないので(市場経済に任せとくとそうなる可能性が大きくなる)、不平等が起こらない仕掛けは何か、昔は累進課税がそれで所得の再分配を政府の役割にしたが、今は何かが問題である。


ビルゲイツの回答は格差解消つきの市場経済である。(公共性の強い事業を非営利法人がやる資本主義)


政府部門について、小さい政府論は一昔前のことで、最近は賢い政府が目ざすべき方向であるが、それより一歩踏み込み民間部門で公共事業をやると考えるのが先端である。


こういう認識ではアメリカの方が一日の長がある。