規制緩和すると新産業が生まれるは少し前までの常識でした。通信の規制を緩和し携帯電話が成長したのがその好例です。


一方、規制があるとそれを突破するためにイノベーションが起こり新産業が生まれると経済学の教科書に書いてあります。


どちらもあるというのが本当のことです。


ボイス5月号の巻頭論文で、クルーグマンは「日本経済への提言」を書いてますが、ここに「第二次大戦後25年間の成長産業をしらべると、規制が緩和されたから登場したのでなく、規制があったのでそれを突破するためにイノベーションが起こり新産業が登場した」とありました。


クルーグマンは100年間の成長産業研究をやってましたが、その結論は「規制突破型のイノベーションが新産業を生む」です。


化石燃料規制(炭酸ガスの排出量規制)、化石エネルギーのコストが高くなるなどしてクリーンエネルギーが成長します。グリーン産業は規制突破型なのです。


厚労省の調査では潜在失業率は14%です。失業率は5%ですので10%近い失業が企業内で眠ってるわけですが、昔これを「雇用保蔵」といってました。企業は景気が回復したとき、すばやく立ち上がるために雇用を保蔵している、経営上これが必要というのです。


現在でもこんなことがあり、一概に失業と断定できませんが、産業構造転換、新産業育成、新しい雇用の創造は待ったなしで迫られている課題です。


作家島田雅彦「徒然草in USA」は、今年の春まで約1年間ニューヨークに滞在していたときに考えたことを書いたものですが、日本でも新産業出現の必要性を痛感してこんなことを書いてます。


京都の高台寺はピークの一日の入場者数がユニバーサルススタジオを超えた(紅葉のシーズンに夜ライトアップし来場者が増えた)、こういうのが成長分野になっており、「里山ランド」のようなコンセプト(自然を主役にした施設、農園)に成長分野を大転換すべきで、自然を加工する営みから多くの産業が生まれると書いてます。


これなんかもいい視点です。今コンセプトの大転換が必要なときです。