民主党政権になったらどうなるか、マスコミはどちらが勝つかでなく、勝ったらなにが起こるかを性急なことに話題にしてます。


その中にずばり既得権のつけかえというのがありました。政治家は税金の流れを設計するので、政権が変ると流れる先、権益は変ります。


×は土建業、農協(補助金は農協をバイパスして農家へ直接行ってしまう)、文教族(これも教育費は文科省をバイパスして家庭へ直接行ってしまう)、○は自治労、日教組、農家(農家への直接補償)。


中学生以下へ月26,000円給付する総額は約5兆円、これは文科省の予算と同じで、財源はこの予算ということになるんでしょうか。


長い保守政権から社会主義政権になったのは97年のイギリスです。このときブレア政権は昔の社会党政権の政策をやったのでなく全く新しい政策を創造しました。


日本だって同じです。財源がないので知恵を出して昔風じゃない政策を考えなくてはいけません。政治家もマスコミもここが不足してます。


ダイヤモンド電子版(8月3日号)は、ビル・エモットのインタビュー 「日本の次期総理は英ブレア前首相の貧困層対策に学べ」を記事にしてます。


ブレアの貧困層対策とは、最低賃金の引き上げ(賃金を上げるので成長率を下げるという説は間違いで、所得が増え国内市場は大きくなった)、勤労者向けの給付つき税額控除制度(所得が低いために減税効果がない低所得層にたいして、減税に相当する給付金を与える制度、負の所得税)、職業訓練の強化、産業活性化策など、総合的に練られた貧困層対策のことです。ブレア政権はこれを実行した。


日本の新政権も雇用保険で給付し、ハローワークで仕事を斡旋するだけでなく、労働力を再訓練し、産業構造転換政策を行い仕事を増やす、こういうのがブレア流の貧困層対策です。


エモットはこういうことを学んだらどうかというのです。社会起業家の育成を政策にしたのもブレア政権です。


市場主義志向でありながら、同時に社会正義と平等性を目指す、社会正義と市場経済とは矛盾しないということを実証したのがブレアです。マーケットファンダメンタリズム(市場原理主義)とソーシャリズム(社会主義)のどちらか一方を選ぶ“シンプルチョイス”ではないのです。


10年遅れになっちゃいますが、今からブレアの知恵を学べばいいと思います。