ビルゲイツの創造的資本主義の提唱に対し反対する典型的な議論は、普通の資本主義でも貧困や貧富格差を失くすことができる、経済成長し仕事が増え所得が上昇する、こうして生活が豊かになるので、わざわざ「創造的」とつけることはないというのである。


そうした論の一つがニューヨーク大学経済学部ウィリアム・イースタリー教授の主張である。


「ゲイツは従来の資本主義では貧しい人々を救うことができないというがそんなことはない」
「企業による慈善活動を過大評価している」
「ハドソン研究所によれば、2006年に発展途上国へのアメリカ企業がおこなった支援は55億ドル、アメリカのGDPは13兆4000億ドルなので少なすぎると思われる」
「CSRのために特に雇い入れた人は実践的でない人でたちで占められてる」(日本でもそうであるが、アメリカでもそうなのか、どこでも同じである)
「(ゲイツは)利己主義と利他主義を混ぜた架空の第三の道を勧めてる」


70年代の初めにフリードマンは、企業は株主のために利益を上げるのが目的で、社会貢献などよけいなことをやってはいけないといったが、これが80年代と90年代に広がりまだ根強く残っている。このためにゲイツの新しい活動には反旗を翻すエコノミストが多い。


面白いことに企業は積極的に社会に貢献すべきという論も80年代から広がり実行された。


当時から相反する二つの論が共存していたのである。


そうなると資産の再配分は税金で政府がやるのと、企業が細々とやる社会貢献だけで十分で、ゲイツの活動は否定される。


これは古い在来の考え方で、ゲイツやユヌスの新しい提唱、いずれも進化した資本主義の提唱であるが、こちらの方が新しいもので魅力がある。


社会起業はこの新しいコンセプトにもとづいて行われている