08年1月、スイスのダボスであったダボス会議でビルゲイツはクリエイティブ・キャピタリズムのわが考えを講演した。


こんな内容だ。
・ソフトウェアの魔法で世界を変える、これはマイクロソフトで成功した
・ニーズが満たされないまま生活してる、ニーズとは飢餓から逃げたい、病気を治したい、これは市場は貧困者を相手にしないので市場経済では解決不可能
・マラリアで数百万人が死んでるのに、薄毛、脱毛を直す薬に関心
・市場のインセンティブが貧困者に働かない、見返りが少ないため
・私はせっかちな楽観主義者、いそいで市場経済が解決できない問題を解決する、解決できる
・収益をあげる、評価をつくる、貧しい人の生活を変革するシステムを設計
・創造的資本主義をつくる
・アダム・スミス「道徳情操論」、人間は他人の運命に関心を寄せ、他人の幸福を必要とする、これが人間の本性なので収益+利他主義、世間からの高い評価などで、市場経済とは違う資本主義をつくることができる
・プラハード「ネクスト・マーケット」はそうしたことを考察した本、
・クラウス・シュワブ(ダボス会議主催)、ファースト・カンパニー誌は社会起業家を表彰


この講演を聴いていたアメリカのジャーナリストで編集者であるマイケル・キンズレーはクリエイティブ・キャピタリズムについての本を書こうと決意したが、ちょっと考え、ブログにしてゲイツのスピーチをのせ、識者が意見を投稿するやり方で群衆知を集めることを考えた。


この試みは成功し、数千人が投稿し名だたる識者数十人のオピニオンリーダー、ジャーナリスト、教授、官僚などが寄せた意見をキンズレーが本にまとめた。それが「ゲイツとバフェット新しい資本主義を語る」(原題はクリエイティブ・キャピタリズム)徳間書店、原典は昨年末発刊され、翻訳はこの4月に出た。


ゲイツの主張は貧困を失くすのは政府援助でも慈善でも国際機関でもなく、多国籍企業だという。


企業が無視していたところへ事業を広げるので「創造的」といい、そうすることで社会問題を解決できる。


ゲイツ自身社会起業家へ転進し、他の成功した起業家や大企業へも自分のようになることをすすめてるのであるが、これに対しこの議論に参加した識者は大方賛成し、ここに未来があるという。


こうした感覚は日本にはないがアメリカの経済界では広がっているようだ。現在の新思考なのである。そこでゲイツの提案に対し、識者はどう反応したか書いてみる。