「ニューレーバー(新しい労働党)は国民の健康や福祉サービス、半官半民の組織に資金を投入し、サービスを改善した」

これはアンソニー・ギデンズが毎日新聞のインタビュー(4月26日紙面)でブレア政権10年を総括したときのものです。


社会起業を「半官半民」といってるのが面白いと思いました。


ギデンズはロンドン・スクール・オブ・エコノミックス教授のとき「第三の道」を提唱しブレアの政策の骨格をつくりました。伝統的な福祉国家の社会民主主義(第一の道)でもなく、サッチャー元首相の市場一辺至政策(第二の道)でもない中道左派の新しいコンセプトを提唱したのです。


保守党はブレア10年の間4人も党首が交代し、キャメロン現党首になってニューレーバーの土俵に立って(この場合は中道右派でしょう)初めて信任を得たともいい、第三の道は保守党をも変えてしまうほどだったのだぞとギデンズは自信満々です。


ギデンズは学長になったあと、現在は上院議員をやってるらしい、コンセプトメーカーに与えられた論功行賞です。


「半官・半民」「非営利・営利」ともに社会起業を表現するときに使う言葉です。前者が第一の道、後者が第二の道のことで合成してそういってるのですが、社会起業を表現するのにぴったりとはこない。新しい現象に古い言葉を使ってるからそうなってしまう。


社会起業は、まだ新しい現象のためにぴったりとした言葉がない、で今のところ言葉の定義などやらない方がよい、現象として感覚で感じるのがいいのです。


人間は昔から「真ん中に真理がある」と思う感性がありました。よってたつ左右がだめになったときそう考えるクセがあったのですが、今がそういうときです。競争的協調なんてのもこれです。


こうなると見える風景はぼんやりとして面白くない、でも朧月夜とか春霞とかぼんやりしたものに美があるという感性が日本にはあるんですから、それにひたってればいいんじゃないかと思います。


ところで、ギデンズは英国の欠点についても延べてます。
・階級社会が弊害となり労働生産性は米独仏の後塵をを拝する
・人口の2割が技術を持たず獲得しようともしないので貧困層は経済成長の恩恵をうけられない
・日本と同じ高齢化問題をかかえてる、解決策はフィンランドのように60才をすぎても過半の人が働くことで一定年令で退職を強いるべきでない
・国民の2割が肥満で北欧のように予防重視の健康システムをつくるべき


日本では2番目の問題がニート問題、格差解消問題、3番目の高齢者問題も同じです。1番目の生産性上昇と4番目の予防健康システムは安部政権が熱心に進めようとしてるので、日本の方が先に行っている感じです。


「労働生産性上昇」「格差解消(所得の再配分などともう言わないのが現代です)」「高齢者も働く」「医療は治療じゃなく予防」が先進国の合言葉になってきてるんですね