GEは、またまたやってくれました。
コーポレートガバナンスと環境保護を徹底するため、初の「企業市民報告書」を発行した。「会社の業績は財務や株価だけでなく、健全性や環境・地域への貢献度でもはかるべきだ」とし、不正会計など米国で相次ぐ企業不祥事を受けて、自ら厳しい姿勢で臨む決意をみせた。


77ページにおよぶ報告書は、社内倫理から地球温暖化防止まで過去の実績と今後の目標を子細にカバー。倫理規定では窃盗や備品の不正使用などで昨年368人が処分され、うち125人が解雇された例や労災件数までも報告。 環境保護では、二酸化炭素の排出を2012年まで前年比で毎年最低1%ずつの削減を盛り込んだほか、08年までは最大30%の削減を目指すことを明らかにした。(日経5月20日


ひところ、企業は環境報告書をつくるのが流行ったが、企業市民報告書とは珍しい。市民報告書と聞くと、市民アンケート、市民参画会議、市民フォーラム報告書などが普通のことであるが、企業が作る市民報告書だから価値が出てくる。


マイクロソフトのHp には、Bill Gates(会長)とSteve Ballmer(CEO)のこんなコメントが載っていた。
『Citizenship Report? 企業市民としての活動報告書 ?


私たちのミッションは「世界中の全ての人々とビジネスの可能性を最大限に引き出すためのお手伝いをする」ことです。これは「優れた製品を作るだけでは、責任ある優れた企業に成長することはできない」という考えに基づいています。
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私たちは、ビジネスを円滑に進めるのと同時に、企業市民としての自覚を社内で一層浸透させようと取り組んでいます。
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私たちは地域社会に末永く貢献することで、年齢や身体的な障害、そして経済格差などによりテクノロジの恩恵が享受できなかった人々に力を与えることができるよう、今後も取り組んでいきます。同時に、お客様やパートナーにとって最良の価値を提供していくために、経営上の透明性を増し、安全かつ信頼できるインターネット環境を全ての人々に提供するために取り組んでいきます。』


GEに比べ少し自信なげであるが、基調は同じである。20年前には巨大な多国籍企業は、国家を越えた(売上高が小国のGNPを上回った)と誇っていたときがあったが、「社会の中に企業は存在する」と考え直すのが今のトレンドで、改心しましたと見せたのがこれである


日本の大企業でも、環境報告書を作っているところはかなりあるが、ここまでやっているところはない。三菱自動車、三菱地所、西武、小田急。。。。など、倫理感欠如の事件が続発しており、その反動か社会貢献、社会責任の議論が一層盛んになってきた。この流れは、企業がつくる市民報告書まで行きそうな感じがする。そうした点でGEは、再び先端に出た。


しかし、GEは生産財メーカーなので、市民との直接の結びつきはない。だから、気楽にできた感じもする。消費財メーカーだと、市民との直接な関係を縷々書くが、これは難しく、やりがいの仕事である。社会感性がまだ残っている若手社員が挑戦してみてはどうか。